002.天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)

宇宙の神聖なる中央にます最高神

「古事記」冒頭の天地創生(開闢)神話の最初に登場する。高御産巣日神、神産巣日神とともに造化三神と呼ばれ、天地の初めに成った三柱の神の筆頭である。

またこれら三神に、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天常立神を加えた別天神五柱の一神であり、高天原に配属神をもたない独神として成り、身を隠した。

「天」は第戸を覆う宇宙(天空)、「御中」は尊意をこめた真んなか、「主」は主人、主君との意味である。つまりこの神名は、宇宙の神聖なる中央にます宇宙最高神、至上神を意味する。この神を祭神とする古社のないことから、道教など中国思想の影響を受けつつ、地上における天皇を宇宙的な次元に投影して造形された、比較的新しい時代の観念的な神といわれる。

この神は、天地世界の始原、宇宙の中心に位置し、「古事記」の冒頭に置かれ、天皇・王権の正当性を強く根拠づける役割を果たしている。しかし字義上では最高神を意味しても、具体的事跡の記述がないために、この神を「古事記」での宇宙主宰神とするには無理がある。一方「日本書紀」では本文にこの神は見られず、一書でも国常立尊の後に出現するなど、この神を「古事記」ほど重要視していない。

中世の伊勢神道では、伊勢外宮の祭神・豊受大御神に比定され、水徳の神・元始神として根源神的に観念された。これは多神教である神道のなかの一神教的な傾向の始まりである。

この神が、一般の信仰対象となったのは、近世に入って北斗・北極星信仰と習合し、さらに仏教の妙見菩薩との同一視がなされて以降である。また、平田篤胤が北斗七星の神、宇宙の主宰神とする教学をたて、さらに明治初期、大教院の祭神として祀られた結果、より広く知られるようになった。北辰社・妙見社は明治以後、この神を祭神としている。

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