007.国之常立神(くにのとこたちのかみ)

大地そのものを神格化した存在

記紀では、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすにのかみ)、神産巣日神(かむむすひのかみ)、宇麻志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)、天之常立神(あめのとこたちのかみ)の五柱の神を、宇宙創生、天地開闢における別格神、すなわち別天神(ことあまつかみ)とする。

世界ははじめ、まだふわふわとした液状で、定まった形を持たなかった。その後、天と地とが分かれ、その境がある程度定まったところで、この世界を直接つかさどる神、国之常立神(くにのとこたちのかみ)が立ち現れる。このように、国之常立神は、天之常立神と対をなす神である。天之常立神が天そのものを神格化した存在であるのに対して、国之常立神は大地を神格化した存在といえる。

一説によれば、この二柱の神は同神であるともいわれ、常はトコ(底)であるという。このためか 『日本書紀』 の一書には、国之常立神が国底立尊とも表記されている。

ただ、この神が現れるタイミングは、『古事記』と『日本書紀』とで若干の適いがある。『古事記』では造化三神が出現したあと、天之常立神に続いて現れるが、『日本書紀』 のなかでは、この世界に最初に姿を現す神として紹介されている。このように、『古事記』では天之常立神を、『日本書紀」では国之常立尊を重視する傾向がみられる。何れの書においても、独神であるというほかには、具体的な事跡を語るエピソードは記されていないが、神道の流派の中には、国之常立神を非常に重要視するものがいくつかある。

たとえば伊勢の度会(わたらい)神道では、天之御中主神、豊受大御神(とようけのおおみかみ)とともに、国之常立神を宇宙の根源神とした。また、中世の神道家である吉田兼倶(かねとも)(吉田神道)も、この神を天之御中主神と同一の神として重視した。ほか、明治期かち昭和にかけて現れた多くの古神道の思想家や国学者たちが、それまでの記紀神道において封印されてきた重要な神と位置づけ、この神の復権を唱えた。

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