006.天之常立神(あめのとこたちのかみ)

天の礎が定まったことを示す

天地創生(開闢)神話に現れる神。「古事記」では、天之常立神(あめのとこたちのかみ)、「日本書紀」には天常立尊(あめのとこたちのみこと)と表記される。配偶神はないが、表記上では国之常立神と対をなす神である。

「古事記」では、天之御中主神以下の別天神五柱のうち、宇摩志阿斯詞備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)に続いて最後に出現した神で、国之常立神以下、伊邪那岐神・伊邪那美神までの神代七代へと続く位置に登場する。

宇摩志阿斯詞備此古遅神と同じく、国(大地) が浮き脂のように漂っていたとき「葦牙(あしかび)の如く萌え騰がる物に因りて成りませる神」と記される。他の別天神五柱と同じく、配偶神をもたない独神として身を隠した。

『日本書紀』神代上・第一段、第六の一書(異伝) では、天地が分かれて最初に現れた始原の三神(ほかに可美葦牙彦舅神(うましあしかぴひこじのかみ)・国常立尊(くにのとこたちのみこと)) のうちの第一の神として記され、「葦牙のように空中に生まれた神」とある。なお『先代旧事本紀』では、天之御中主神をこの神に同定している。

「天・アメ」は、神々の住む世界としてのイメージされた高天原であり、人間が見上げる天空としての宇宙でもある。トコ(常)は存在や状況の恒久性・永遠性を、タチ(立)は「風が立つ」というように、それまではっきり見えなかったものの出現を意味する。よって、神名は、天(高天原)が永久に存立するような状況が出現したほどの意味となる。トコを「床」として、この神を具体的な意味での「天の土台」とする見解もある。

『古事記』では、この神に続き、宇摩志阿斯詞備比古遅神、天之常立神が、「萌え騰がる物」から出現する。この記述に沿って考えれば、天地開聞以降いまだ分化途上で流動浮遊していた天地のうちの天(高天原)が、国(大地)から萌えあがる豊かな生命力・生命力(宇摩志阿斯詞備比古遅神)によって、「天の礎」として安定するに至った状態を神格化したものであろう。  (濱砂)

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