003.高御産巣日神(たかみむすひのかみ)

天孫降臨を司令した神聖な生成力の神

「古事記」に登場する神で、別名は高木神(たかぎのかみ)。日本番紀』では高皇産霊尊(たかみむすひのこと)。「古事記」や「日本書紀』神代上・第一段、第四の一書(あるふみ)(異伝)にある天地創成(開闢)(かいびゃく)神話によれば、天地のはじめに高天原(たかまのはら)に出現した造化三神(ぞうかさんしん)のうち、天之御中主神(あめのみなかぬしのがみ)を継ぎ、神産巣日神(かむむすひのかみ)に先立って出現した第二の神である。「古事記」では、別天神五柱(ことあまつかみ)の一神で、独神(ひとりがみ)(配偶神のいない神)でもある。 神名は、「ムス=産業・産」 (生ずる・生成する)と「ヒ=日・霊」(神霊)との合成語に美称(尊称)である「高御」という語がついたもので、偉大で神聖な生成の霊力の神という意味である(漢語表記の「日」を強調して、天照大御神(あまてらすおおみかみ)以前から信仰された根源的な太陽神とする説もある)。また、高木神という別称の通り、草木植物の生成、さらには農耕の成就(じょうじゅ)をつかさどる神である。 生成という抽象性・一般性の高い働きと関係する神格ではあるが、天照大御神と並ぶ高天原の中心神として具体的にその活動を描写されている点で、他の別天神と比べて強い存在感を示している。「古事記」や「日本書紀」では、天照大御神とともに天孫降臨を司令する一方、単独で降像を       指揮し、天孫・填擾杵尊(ににぎのきと)を真床追衾(まどこおうふすま)(神聖な床を、覆(おおう)衾)に包み、天降(あまくだ)りさせたという記述も見られる。また神武(じんむ)天皇の東征の際には記紀ともに現れるなど、もっぱら天孫系神話で活躍する。これは国津神(くにつかみ)の活動を多く記す出雲(いずも)系神話に頻出(ひんしゅつ)する、もう一柱の生成神である神産巣日神(かみむすひのかみ)としい対照をなす。つまり、天地のうち天と強くかかわる天津神(あまつかみ)系の生成神ということである。 律令(りつりょう)時代には、神祇官八神殿(じんぎかんはっしんでん)における祭神の一柱として重視され、天皇の寿命を守る神ともされたため、御魂鎮(みたましず)め(衰弱した魂の回復)の祭儀である鎮魂祭に祀(まつ)られている。また、大賞祭(だいじょうさい)や祈念祭(きねんさい)などの宮廷農耕祭儀でも祀られる点から、農耕の神としての性格もうかがえる。(潰砂)

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